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前橋地方裁判所 昭和59年(わ)310号 判決

本店所在地

群馬県高崎市井野町三六九番地の四

株式会社商建

(右代表者代表取締役堀川俊幸)

本籍

群馬県前橋市日吉町四丁目一七九番地

住居

同市駒形町六四八番地の六

会社役員

堀川俊幸

昭和二六年二月二三日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官會田正和出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社商建を罰金六〇〇万円に、被告人堀川俊幸を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人堀川俊幸に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社株式会社商建(以下「被告会社」という)は、群馬県高崎市井野町三六九番地の四に本店を置き、建築工事の請負等を営業目的とする資本金七五〇万円の株式会社であり、被告人堀川俊幸(以下「被告人堀川」という)は、右被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人堀川は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の外注費等を計上して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五五年九月三〇日から同五六年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が、一、二〇七万二、八五三円であり、これに対する法人税額が四一七万四、〇〇〇万であったにもかかわらず、同五六年九月三〇日、同市高松町三三番地所在の高崎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四七万三、五八九円であり、これに対する法人税額が一二万五、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額四〇四万八、三〇〇円を免れ

第二  同五六年八月一日から同五七年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三、二六一万二、九五九円であり、これに対する法人税額が一、二三四万六、四〇〇円であったにもかかわらず、同五七年九月三〇日、前記高崎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九七九万二、八三三円であり、これに対する法人税額が二七九万六、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額九五五万円を免れ

第三  同五七年八月一日から同五八年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二、九六七万六、一三九円であり、これに対する法人税額が一、〇七四万七、五〇〇円であったにもかかわらず、同五八年九月三〇日、前記高崎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、三二三万三、〇五三円であり、これに対する法人税額が三八七万一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額六八七万五、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人堀川俊幸の当公判廷における供述

一  被告人堀川俊幸の検察官に対する供述調書三通

一  加藤勝二、中井誠一(三通)、長谷川芳男、小林政博の検察官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  高崎税務署長作成の証明書五通

一  大蔵事務官作成の調査書三七通

判示冒頭の事実につき

一  前橋地方法務局高崎支局登記官作成の登記簿謄本

判示第一及び第二の各事実につき

一  星野亨作成の答申書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書、査察更生決議書、修正損益計算書、修正貸借対照表、査察官作成書(いずれも自昭和五五年九月三〇日至同五六年七月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の昭和五九年四月一一日付答申書

判示第二及び第三の各事実につき

一  梅山毅の大蔵事務官に対する供述調書

判示第二の事実につき

一  堀越隆、斎藤専造、八木幸雄(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書、査察更生決議書、修正損益計算書及び修正貸借対照表(いずれも自昭和五六年八月一日至同五七年七月三一日のもの)

判示第三の事実につき

一  北澤裕之の検察官に対する供述調書

一  吉沢富子の大蔵事務官に対する供述調書

一  高野和已、成瀬智、松井高明、福田美夫作成の各答申書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書、査察更生決議書、修正損益計算書及び修正貸借対照表(いずれも自昭和五七年八月一日至同五八年七月三一日のもの)

(法令の適用)

被告人堀川の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、いずれの罪についても所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。さらに、被告人堀川の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につきいずれも同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により所定罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金六〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松岡和子)

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